葬儀後の手続きについて

 今回は葬儀後にする事や、やらなければいけない主な手続きをご紹介してまいります。項目毎に対象となる方や手続き期限などを表記しておりますので、該当する箇所はチェックしておいて下さい。

役所関連の手続き

 まずは役所や社会保険事務所などでの公的手続きからまいります。

 尚、各項目の詳細や期限については変更がある場合もございますので、関係機関でご確認下さい。

生活関連の手続き

 次に各種名義変更や生命保険など生活関連での主な手続きを紹介します。

税金関連の手続き

 そして専門知識も必要となる税金関連の手続きとなります。

 税金関連の手続きは非常に解りにくいので、一つ一つ説明してまいります。

所得税準確定申告

 所得税準確定申告とは故人に所得があった場合に、相続人全員が共同(全員の連署・捺印が必要)で故人の代わりに確定申告を行う事です。これを知らずに放置しておくと申告漏れとなり、追徴課税となりかねませんので、注意が必要です。表では準確定申告が必要となる条件を書いていますが、次の場合には申告が不要となります。

●アルバイトや正社員で1ヵ所からのみの給与所得だった場合

●準確定申告を行う相続人が相続を放棄した場合

●年金受給額が400万円以下で、その他の所得が20万円以下の場合

 ただし、これらに該当する場合でも申告により、還付金が発生する事もあります。

●年末調整が行われていない場合

●医療費控除や寄付金控除を受ける場合

●マイホームの購入やリフォーム工事などを行っていた場合

 所得税準確定申告については国税庁のホームページを見てみましょう。「確定申告が必要な方」には様々な例を挙げて具体的な内容が記されていますし、申告に必要な書類、領収証、控除証明書も確認できます。/確定申告の記載例もありますので、まずは国税庁のホームページを確認しましょう。

遺言書の検認

 故人が遺言書を残していた場合は遺言書の保管者、または遺言書を発見した相続人は家庭裁判所にて遺言書の検認を受けなければなりません。これは家庭裁判所にて相続人などの立ち合いのもと、遺言書を開封し、内容を確認するとともに遺言の存在を明確にして、公の場で開封する事で、偽造・改変される事を防ぐ目的があります。ちなみに遺言書を勝手に開封したり家庭裁判所での検認を受けずに遺産相続を進めてしまうと、罰則があり、5万円以下の過料に処せられますので注意が必要です。

 また、遺言書には ①自筆証書遺言、②秘密証書遺言書、③公正証書遺言書の三種類があり、このうち③の公正証書遺言書では検認の必要はありません。以下に表にまとめます。終活などで遺言書を残そうと考えておられる方も留意しておく事も記載しておきます。

 今回、私の動画では葬儀後にやらなければいけない事の一つとして、遺言書の概要をお話しましたが、実際に故人を見送った際に遺言書があった場合や見つけた場合には勝手に開封せずに専門のウェブサイトを確認したり、司法書士や弁護士などに相談するなどして下さい。

相続放棄

 相続人が被相続人の権利義務の承継を拒否することであり、相続財産が債務超過である場合に債務を免れるために相続放棄の手続きがとられます。相続放棄するとプラスの財産(預金・不動産など)もマイナスの財産(借金)も承継する事はありません。法定相続人全員が手続きする必要があり、財産をよく調査してからでないと不利益となったりする事もありますし、3か月以内に手続きを終えないといけない為、弁護士や司法書士といった専門家に相談した方が良いかと思います。

相続税の申告・納税

 まずは手続きの流れを見ていきましょう。

1. 一連のお葬儀終了後、保険・年金の手続きを済ませます。

2. 故人さまが残した財産を調べます。また、法定相続人も調べておきます。

3. 先に説明した所得税準確定申告を行います。

4. 遺産分割協議を行い、相続人同士で相続財産の権利配分を取り決めます。

5. 2.で把握した相続財産から相続税の計算をします。

  相続財産から課税対象額を明らかにして基礎控除額を計算します。

  基礎控除額は(2023年6月現在)3,000万円+600万円×法定相続人の数となり

  よって相続税は課税対象額×相続税率-控除額となります。

  相続税率は国税庁のHPより確認することができます。

6. 相続税の申告・納税

 相続税の申告はご自身で行う事も可能ですが、専門的な知識が必要であったりしますし、また相続財産評価相続税計算はなかなか難しい事が多いので税理士に相談すると良いでしょう。適切な特例を利用する事で節税に繋がる事もあります。葬儀社によっては相続全般をサポートする為に弁護士司・司法書士・税理士など専門家と提携している場合がありますので、相談する事をおすすめします。

遺品整理

 手続きではありませんが、必要ならやるべきことです。

 故人さまのご自宅が持ち家の場合は時間のある時に生前の故人さまを偲びながらゆっくり整理していけば良いですが、賃貸などの場合は賃料の問題もあり、なるべく早く終わらせる方が良い事もあります。また、故人がお住いの住宅で亡くなられた時には脱臭作用のある特殊清掃が必要になる場合ありますが、ご自身では難しい場合には専門業者依頼する事が出来ます。金額は家の広さと荷物の量によって変わりますが見積もり無料の業者もありますので検討してみると良いかもしれません。/こちらも葬儀社と提携している事が多いので、葬儀利用者サービスを受けられるかも知れません。気になる場合は相談してみると良いでしょう。

エンディングシート活用

 さて、今回の内容をチェックリスト化したものをダウンロードして頂けます。また、主な手続きの詳細なリストも用意しております。事前に内容を確認しておく事は後々の手続きをスムースに進めるのに有効ですので、是非ご活用下さい。リンクを貼っております。

 葬儀後の手続きはややこしく、難しい事が多く面倒であったりもしますが、やらない訳には行きませんのでチェックリストでやるべき事をしっかり把握して下さい。

 今回はここまでにしたいと思います。私の動画ではこれからも葬儀とそれに関連する事柄について解説してまいります。この動画がより良いお葬儀の参考になれば幸いです。/次回は葬儀後に執り行う法事や納骨についてお話していこうと思います。

 それでは、ありがとうございました。