無宗教葬・福祉葬

 これまでこのチャンネルでは火葬のみの葬儀や骨葬など、様々なお葬式の方式・方法をご紹介してまいりました。今回は無宗教葬の概要と生活保護の被保護者の為の、葬祭扶助・福祉葬について解説してまいります。

無宗教葬の概要

 無宗教葬とはお寺や神社などの宗教者を介さずに執り行う葬儀であり、一般的にはお通夜にセレモニーのない一日葬として執り行われる事が多いお葬儀の方式となります。無宗教葬では、宗教者やその団体との後々の付き合いをする必要がない、宗教者へのお礼が不要で費用を削減出来る、などの効果があります。が、一方で困った事になる場合もありますので、採用する場合には家の事情を把握してからにしましょう。次にチェックすべきポイントを解説してまいります。

遺族・親族の反応

 やはり宗教者なしのお葬儀というのは拒否反応を見せる方もいらっしゃいます。いざ葬儀の際に揉めないために、事前に説明しておきましょう。また、例えば故人が宗教的な事に否定的で遺言であった場合など、その旨、伝えておくとよいでしょう。

お墓の状況

 故人が生前にご自身のお墓を用意していた場合や先祖代々のお墓がある場合はその状況をチェックしておきましょう。まず、お墓が菩提寺など宗教施設にある場合は無宗教でのお葬式でも納骨できるのか、を確認しておきましょう。火葬のみのお葬儀や無宗教では宗教儀式が執り行われませんので、納骨を断られる事もあり得ます。トラブルを避ける為に事前に相談・確認しておきましょう。また、お墓に先祖の戒名・法名がお墓に刻まれている事があります。これをどうするかも考えておきましょう。戒名・法名だけ寺院から頂く事やお墓の移動・移転もできますが、費用削減という観点から無宗教葬を選ばれるなら、これらの対処法は効果的ではありません。やはりトラブルのリスクもあります。お墓の状況を確認し、家族・親族に加え、葬儀社、菩提寺があれば菩提寺やお墓の管理者へ相談されると良いでしょう。

お葬式の内容

 一般的な仏式の葬儀では僧侶の読経の中、焼香など式辞進行していきますが、無宗教葬ではそういった物がありませんので、故人が好きだった音楽を流すとか、参加者が個人へのメッセージ・手紙を読み上げるなどの工夫が必要です。また、焼香などは出来ますが、宗教的な儀式が嫌という場合には献花を用意する事も出来ます。葬儀社へご自身の要望を伝え、相談しながら手配すると良いでしょう。

福祉葬の概要

 福祉葬とは生活保護の被保護者の方の為の葬祭扶助制度となっています。役所の審査の後、適用されれば費用は自治体が負担します。金額的には約20万円となっており、内容的には火葬のみのお葬儀程度となりますが、地域によっては市営斎場の式場利用料が含まれていたり、読経料が含まれていたりします。この辺りはお住いの地域の役所なり、葬儀社で確認して下さい。手続きは基本的には葬儀社で手配しますが、場合によっては申請者(喪主となる方)が役所の担当者と面談する必要があります。また、葬祭費用も申請者に支給される訳ではなく、葬儀社が役所へ提出する請求書に基づいて直接、役所から葬儀社へ支払われるか、役所で福祉担当者、申請者と葬儀社が集まった上で精算されます。経済的に困窮されいる方にはありがたい制度ですが、葬祭扶助を受けるには条件があります。

申請者が生活保護を受けているか、経済的に困窮している場合

 多くの方が勘違いをされていますが、故人が生活保護を受けていても申請者(喪主となられる方)が経済的に自立しておられる方ならば、葬祭扶助は適用されません。つまり、葬祭扶助制度は亡くなった生活保護受給者に対しての制度ではなく、生活保護受給者・生活困窮者がお葬儀を執り行う為の制度なのです。よって適用されるのは申請者が生活保護受給者である事が前提ですが、経済的に困窮されている方も役所で審査の上、適用される場合があります。役所では面談の上、収入や資産、預金の確認から動産・不動産の所有の有無などを確認し審査します。要するに生活保護を受ける位に困窮していないと適用はされないという事です。

故人に扶養義務者がいない場合

 この場合には、住んでいた家主や民生委員が葬儀を手配する事となり、葬祭扶助が適用されます。また、扶養義務のある遺族・親族がおられても、故人が何年も行方不明になって音信不通であった場合や顔も見たこともない方であった場合などには遺族・親族に引き受けを拒否されて、葬祭扶助を適用される事もあります。

エンディングシートの活用

 今回の無宗教と福祉葬では専用のエンディングシートはありませんが、無宗教葬を検討されておられる場合には一日葬のシートを活用して頂く事が出来ます。福祉葬の場合ではそもそも葬祭扶助を受ける事が出来れば費用は発生しませんので、要望や記録のエンディングシートをご活用下さい。

これまで一日葬や家族葬などのエンディングシートの他、終活中の方、ご自身の要望や記録をまとめたエンディングシートもございますので、こちらも併せてご活用して頂ければ嬉しく思います。こちらからダウンロードして頂けます。

今回のまとめ

 今回はお葬儀の選択肢の一つとして無宗教葬と福祉葬について解説しました。まとめると無宗教葬をお考えの場合には

遺族・親族の理解をえられるか

お墓がある場合には無事に納骨できるか

お葬式の進行を考える

となり、

福祉葬をお考えの場合には

葬祭扶助が適用される状況にあるか

を検討してください。解らない場合、判断できない場合には地域事情にも詳しい当地の葬儀社へ相談する事をおすすめします。また、疑問などございましたら、コメント欄に書き込んで頂ければ、お答えさせていただきます。

 今回はここまでとしたいと思います。私の動画ではこれからもただ安ければいい、という事ではなく、無駄なお金を使わないという方向で解説して行こうと思います。この動画がより良いお葬儀の参考になれば幸いです。

 次回からは実際に事が起こってからの流れを時系列に沿って解説していきたいと思います。