臨終から打ち合わせまで
動画版

 今回からは実際に事が起こった場合の流れを時系列に沿って解説してまいります。また、その時々で注意すべき点についても触れていきます。今までに紹介してきたお葬儀の方法・方式それぞれについて解説してまいります。

 まず、実際に人が亡くなる場所は①病院で亡くなる場合、と、②自宅など病院以外で亡くなる場合があります。さらにお葬儀の解説では②の自宅で亡くなられた場合には②-1主治医がいる場合と②-2主治医がいない場合に分かれます。

 ですので今回は

① 病院で亡くなる場合       

② 自宅で亡くなり主治医がいる場合 

③ 自宅で亡くなり主治医がいない場合

の3パターンで解説してまいります。

① 病院で亡くなった場合

 まず、対象の方が危篤状態に陥ると夜中であろうと時間に関わらず、病院から連絡が入ります。出来るだけ早く行ってあげて下さい。ただ、この後万が一の場合には決めないといけない事があります。それは万が一の場合に故人さまの搬送をどこの寝台車を手配するか、と、故人さまをどこに安置するか、という事です。事前相談などをしている葬儀社があればその葬儀社へ連絡すれば良いですが、無い場合には決定しなくてはいけません。また、自宅にご安置される場合には布団の用意も必要です。これまでの私の動画ではこういった事も詳しく解説しておりますので、これらを参考に、考えておく事だけでもしておくと困らないと思います。

 病院に着きましたら、医師から対象の方の状態の説明があるかと思います。看護師さんの指示に従って対象の方に付き添ってあげて下さい。 

 誠に残念ながら、対象の方がご逝去された場合は医師の死亡確認後、看護師による故人さまの清拭があります。この間、1~2時間程度かかりますのでその合間に病院から寝台車を手配するように促されます。病院から紹介を受けられる事もありますが、葬儀社の営業を聞かされたりする事もありますので、決まった葬儀社があるならそちらに連絡して下さい。搬送のみ病院紹介の葬儀社に依頼する事もできますが、搬送費用は別途に支払う事となり、事前相談などしていた場合には見積書やこれまでに作成したエンディングシートの金額と違う、という事もありますので注意して下さい。

 病院での清拭も終われば、医師から死亡診断書が発行されます。これは半面が死亡届となっていて、後々、役所の手続きで必要になりますので必ず受け取って下さい。また、事件性がない事を証明する書類にもなり、寝台車で搬送する際にも所持する事が法律で定められています。そして寝台車が病院に到着し、見送りの病院スタッフへ挨拶をして寝台車で安置場所へと向かいます。自宅安置の場合、布団の用意が出来ていなければ、家族の誰かが先行して用意しておくと良いでしょう。寝台車が自宅へ到着してから準備に手間取ると寝台費用に待機料金が発生する場合があります。

 安置場所へと到着すると、葬儀社により故人さまへのドライアイスの処置と線香・ろうそくなどの宗教用品の設置が行われます。故人さまに手を合わせ、対面の後、葬儀社との打ち合わせとなります。この打ち合わせは夜中であっても翌日の通夜が可能な場合にはその時に行われる事が多いです。が、待機日数が多い地域などでは翌日打ち合わせという事もあります。家族のうちで決定権のある方が出張などで不在の場合は、その旨を葬儀社へ伝え、打ち合わせ日時を相談して下さい。打ち合わせは事前相談していても改めて見積書が作成されます。その際には死亡診断書(死亡届)と葬儀社へ預けられる印鑑(三文判)が必要になりますので、あらかじめ用意しておくなど、頭に入れておくと良いでしょう。また、地域により葬儀社により火葬料金がこの時点で必要な場合がありますので、事前相談の際に確認しておくと慌てる事も無いでしょう。

② 自宅で亡くなり主治医がいる場合

 自宅での看取りを考えておられる場合、前提として訪問診療をしてもらえる主治医を探しておかなければいけません。主治医を決めておくことで、万が一の場合にそれまで対象者を診てきた経過から死亡確認をして死亡診断書を書いてもらう事ができます。 それと私がこれまでにお客様とお話させていただいた経験から主治医に加えて訪問看護師も探しておく事もお薦めです。不安な時に心強かったという話をよく聞きます。また、訪問診療も強化型在宅支援診療所という機関がありますので、この中から探されると良いと思います。この辺りは私も専門外ですのでまずは「強化型在宅支援診療所」と「訪問看護」でインターネットで検索して調べてみて下さい。

 さて、主治医と訪問看護師が決まっている場合、対象の方に異変が生じた時には、まずは訪問看護師に連絡して相談します。そして看護師が緊急であると判断した場合には看護師から主治医へ連絡してもらえます。主治医と訪問看護師への連絡方法をよく確認しておき、連絡先を家族の誰でもわかりやすいようにしておきましょう。

 万が一の場合には、先ほど述べました通り、主治医により、死亡確認が行われ死亡診断書が発行されます。この後、訪問看護師による清拭がある事もあります。この間に葬儀社へ連絡しておくと良いと思います。一つ注意点ですが、特に夏場などドライアイスの処置を気にして医師の死亡確認前に連絡を頂く事がありますが、葬儀社は医師による死亡確認が終わらないと故人さまに触れる事は出来ませんので、ドライアイスの処置もできません。医師による死亡確認が終わってから葬儀社へ連絡して下さい。

 葬儀社の担当者が到着すると、ドライアイスの処置と、ご自宅で線香・ろうそくなどの宗教用品の設置が行われます。そして①病院で亡くなられた場合と同様に打ち合わせとなります。

③ 自宅で亡くなり主治医がいない場合

 この場合は思いもよらない事態である場合が多く、遺族も慌てる事になります。同居の方の異変に気付いた時、生きているかの判断ができない場合には救急車を呼びます。一方、明らかに死亡していると判断できる場合には警察に連絡する事となります。ここからはそれぞれのパターンについて見ていきます。

 まず、病院へ救急搬送された場合は病院到着時に生存しておられた場合は病院で診療を受け、救急処置が施されます。その後亡くなられた場合には、急病など医師が死因を確定できる時には①の病院で亡くなった場合のパターンとなります。ですが頭を強く打っておられる等、医師が死因を特定する過程で不審であると判断された場合、つまり事故・事件が疑われる時には警察へ連絡が行き、警察が介入する事になります。

 警察に連絡が行き、警察が介入すると、基本的には故人さまは警察の遺体安置室へと引き取られ、そちらで監察医による検視が行われます。この時、検視では死因が判断できず、事件の可能性がある場合には司法解剖となる事もあります。と同時に自宅などの現場検証、家族への聞き取り調査なども並行して行われます。これは事件性の有無の捜査となりますので、悲しみと混乱の中にある遺族がストレスを感じる事も多いです。

 余談にはなりますが、事件性が認められない場合にも死因が特定できない時には行政解剖となることもあります。基本的には遺族の承諾が必要になりますが、感染症・食中毒など重大なケースでは遺族の承諾なしで実施される場合もあります。

 そして警察により事件性が無いと判断されれば、警察から検視・解剖の終了日時が告げられます。そして死体検案書(病院で発行される死亡診断書と同様の書類)の受け取り日時・場所と費用が伝えられます。

 ここで葬儀社へ連絡する事になりますが、悲しみと混乱で、何をすれば良いか分らない状況にもなりがちですので、検視中であっても葬儀社へ連絡を入れておく事をおすすめします。葬儀社の方でも準備もできますし、次に何をすれば良いかもよく解っていますので、丁寧に教えてくれると思います。

 この際に決めておく事は①のパターンと同じく、どこで故人さまをご安置するかになります。これも葬儀社へ伝えておきましょう。それと、死体検案書も葬儀社で取りに行ってくれる場合もありますので、誰が何時、取りに行くのかも確認しておきましょう。

 故人さまのお迎え先は警察・監察医事務所・病院と検視、解剖により違いますが、葬儀社の寝台車で安置場所まで搬送します。安置場所に到着したらドライアイスの処置と宗教用品の設置が行われ、葬儀の打ち合わせとなります。

葬儀社との打ち合わせ

 打ち合わせでは喪主・ご遺族の希望に沿って葬儀の内容・日時が決められ、見積書が作成されますが、安置場所から式場へ移動する時間も確定されます。これもよく確認しておきましょう。葬儀の方法・方式についてはある程度の意向を固めておかれるとスムーズかと思います。私のこれまでの動画が参考にご覧頂けましたら幸いです。

 見積書の内容の内、食事関係は葬儀に参加する人数が確定していない為にすし桶や、精進落とし料理の種類だけ決定している状態になっていると思います。お通夜・葬儀それぞれの食事の種類・数量の確定・変更の締め切り日時も確認しておきましょう。

 葬儀社から死亡診断書(死体検案書)の記入の説明を受けながら、書き込みます。すべての決定事項が決まり、見積書を確認すれば、打ち合わせは終了です。葬儀社が役所の手続きを行ってくれる場合には死亡診断書、印鑑、火葬料金など必要な物を確認し、担当者に預けましょう。

 また、会社や学校で忌引きなどの葬儀の証明書類が必要な場合、返礼品につける会葬礼状に故人・喪主の氏名と葬儀の場所・日時が印刷されたものがあれば、それが証明書になりますが、家族葬などで返礼品を用意しない場合や会葬礼状に日時・氏名を印刷しない場合には葬儀社が「葬儀施行証明書」、これは葬儀社によって名称・様式は変わりますが、忌引きの為の証明書を発行して貰えますので、必要枚数を伝えておきましょう。発行に時間がかかる場合もありますので、あらかじめ依頼しておくと良いでしょう。

 葬儀社の担当者が帰り、ここから故人さまへ付き添う事になりますが、葬儀の日時・場所など、必要な事を会社や親族などへ連絡します。特に親族やご友人に連絡する場合には行き違いを避けるため、式場へ移動する日時も伝えておきましょう。そしてこの時、お通夜・葬儀の食事の用意の要・不要も確認し、ある程度の数を把握しておきましょう。食事についても過去の動画で詳しく解説しております。概要欄にリンクを貼っておりますのでこちらも是非ご覧下さい。

 これから葬儀社の迎えが来るまで故人さまへ付き添いとなります。ご自宅安置の場合にはご自宅での故人さまは最後のお姿となります。十分にお別れして下さい。

今回のまとめ

 それでは今回のまとめです。まず、万が一の場合には大きく

①病院で亡くなる場合       

②自宅で亡くなり主治医がいる場合 

③自宅で亡くなり主治医がいない場合

の3パターンに分かれます。いずれの場合にも葬儀社へ連絡をとり、解らない事があれば葬儀社にアドバイスを求めましょう。

 ご自宅への安置をご希望の場合は布団などの準備が必要となります。

 葬儀社との打ち合わせ時には

死亡診断書(死体検案書)

印  鑑

火葬料金

など葬儀社へ預ける必要のあるものがあります。また、忌引き用の証明書はあらかじめ葬儀社へ依頼しておきましょう。

 葬儀の連絡を入れる場合は、場所・日時に加え自宅から式場など移動する場合にはその時間も伝えておきましょう。また、連絡時に食事の用意の人数も把握しておきましょう。

 食事の種類・数量に変更があった場合には締め切り時間に葬儀社へ伝えましょう。

以上となります。

 今回はここまでにしたいと思います。次回は通夜の日からの流れを解説して参ります。

それでは、ありがとうございました。